澎湖特有の「石滬海洋文化」は漁村体験レジャーとして注目されています。石滬は先民たちが海上に築き上げてきたもので、澎湖のシンボルでもあります。これは澎湖人が最も誇りに思うものでもあり、観光資源のひとつとして「巡滬活動」が行われています。この催しでは石滬の自然生態工法やその漁法、および石滬文化の保存などについて学ぶことができます。ここでは「石滬海洋文化」の永続的発展を願い、以下にその由来や構造、巡滬活動などについて説明します。
石滬的結構
初期の吉貝嶼の人々は原始的な道具だけで浅瀬に簡単な弧型の石垣を築いていました。これらは半円形をしており、ちり取り(畚箕)の形に似ていることから「畚箕滬」や「籠仔圈」と呼ばれていました。20世紀になり、数々の経験の蓄積で、捕獲技術も向上しました。漁民はより多くの魚を集めるために、水深が深いところに石垣を築くようになりました。これらの多くは石堤防の真ん中に「滬房」や「滬目」と呼ばれる石垣を設け、ハート形になっています。これにより魚が集まる水域を縮小しました。また、ごく稀ですが、二つの滬房をもつ石滬もあり、これらは「雙滬房石滬」と呼ばれています。滬房には必ず「滬門」という穴があり、これは石滬の浅瀬から深水へ流れる入水口となっています。滬門の幅は多くは約1メートルほどで、底には石でできた敷居(俗称「滬碇」)があります。これは外側が浅瀬で、内側が深くなっています。滬房の石滬は左右両端が内側に曲がっており、魚を誘導しやすくしています。大型の石滬は総長1千メートル以上もあり、滬房と連接する部分には一つあるいは二つの「魚井」と呼ばれる穴があります。これは豊漁時に手に持てない大きな魚を入れておくためのものです。
一般的に石滬は岩礁と繋がっている海域に設けられることが多く、漁民が行き来するのにも便利です。また、岩礁と繋がった道は「脚路」と呼ばれます。このほか、岸辺には「滬厝仔」と呼ばれる建物があります。これは弧型の低い壁で漁民たちが海に入る前に休息する場所です。引き潮の時には風よけの機能も持ちます。
何謂【巡滬】?
一般的に石滬で魚を捕まえることを「巡滬」と言います。これは先に魚が来ているか“巡”視した後に、捕まえにいくからです。岸辺の石滬には、人間と同じくらいの幅の凹んだ溝があり、ここに横になりながら観察します。魚の群れが来たときには、すぐに網で出入り口を塞ぎ、捕まえに行きます。海岸からやや離れている石滬の場合は、先に魚の様子を偵察に行った人が、旗を用いて岸にいる仲間に知らせます(俗称「摔招旗」)。
石滬漁法で用いる主な網具は「拖網」、「叉手網」、「手抄網」という3種 大型の魚の場合は「拖網」を使用します。これは少なくとも二人で協力して行う必要があり、一人が網の端を引っ張って作業します。中・小型の魚の場合は「叉手網」を用い、海面に回遊している小型の魚の場合は「手抄網」を用います。
石滬文化の特色を深く理解したい方には、石滬文化フェスティバルの時期に訪れ、実際に“巡滬”活動を体験してみることをお勧めします。
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