虎井西山には、小型のトーチカのような軍事観測所があります。石造の建築のほかに、地下化された軍事施設も見えますが、これは日本統治時代に日本軍が海上観測に使っていた施設で、地元の人はこれを「アリの穴」と呼んでいます。日本軍は1940年ごろ、虎井で海上防衛用の軍事施設を構築しましたが、このうち最も早く建てられたのがこの軍事観測所です。かつては、「山本五十六大将の南進指揮所」などの噂もありましたが、後にこれはデマであり、「アリの穴」は単なる海上防衛施設であることが確認されています。
虎井の軍事観測所には二個の出入口が設けられており、それぞれ南北の両側に通路が配されています。地下坑道では鉄筋コンクリートで作られ、長さおよそ42メートル、幅およそ20メートルで、細長い空間は通路によって隔てられており、両側にはそれぞれ兵舎、事務室、倉庫、通信室などのスペースが設けられていました。一般には北側から入り、南側出口の小さな台地に、望遠鏡を置いて海上を観測するなど、当時は重要な軍事拠点でした。
アクセス情報
23°29'9.96000"N 119°30'35.46000"E