紅羅湾底にある紅羅村には、十の石滬と呼ばれる魚を捕らえる罠があります。大多数は清朝の時代からすでに存在していたものですが、一部は日本統治時代に造られたものです。このうち、三つの石滬は長さ300メートル以上の双滬房石滬と呼ばれる二つの石滬が連なったもので、大滬の石滬の長さは1375メートルに達するなど、澎湖県で最も大きな石滬です。

むかし、石滬漁業が盛んだった頃、平安と大漁を祈念して行う「拝滬」という石滬を祀る習俗がありました。お祭りは石滬を造った日や大漁だった日のほかに、旧暦の毎月一日と十五日に行われ、神様にお供えする品々を用意するほか、お祭りの場でビーフンを炊いたり、鮮魚を振舞ったり、半斤の紅亀餅を二つ用意して出資者にプレゼントしたりしました。

1960年代、澎湖の伝統漁業が最も発達した時期、各漁港の沿岸や近くの村にはそれぞれ練り物などを作る「魚灶」と呼ばれる設備が設けられ、魚介を蒸したり乾燥させたり、さまざまな加工が行われました。漁船が入港した後、漁民はイカ、キビナゴなどの漁獲を魚灶の横に運び、塩水できれいに洗いました。その後、円型の竹で作ったふるいにいれて鍋で蒸し煮し、数分後に引き揚げて釜上にして、路上や空き地で天日干しにしました。乾いた後にこれを箱詰めして、台湾本島や日本などに販売していました。後に、澎湖の漁業が衰退するのに伴い、伝統的な魚灶も次第に姿を消してゆきました。