澎湖の玄武岩の景観といえば、鶏善嶼に触れないわけにはいきません。「東海の黄山」とも呼ばれている鶏善嶼は、湖西郷北寮村の東北方向4キロメートルの海上に位置しており、大鶏善嶼と小鶏善嶼の二つの島から成り立っています。干潮時には二つの島がつながり、歩いて行き来することができます。

大鶏善嶼と小鶏善嶼は、ともに玄武岩でできた四角い台地で、周りの海に臨んだ断崖は柱状の節がはっきりと見えるものです。大鶏善嶼の周囲には海蝕溝と海蝕洞が数多く見られ、東南の方向には浅瀬があります。小鶏善嶼には、六角形の柱状の玄武岩が並んでおり、パイプオルガンのように見えることから、鶏善嶼の英語の地名はオルガンと名付けられています。ここの玄武岩には、緑色の橄欖石が含まれています。地質学上、橄欖石は地下の深い場所の成分を含んでおり、これが玄武岩の溶岩が上昇してきたときに持ち上げた融点の高い鉱物であることから、特殊な景観の玄武岩自然保護区に指定されているため、上陸に際しては事前の申請が必要です。

鶏善嶼は冬になると、錠鈎嶼と同じく海苔のシーズンを迎えます。清朝の時代から、鶏善嶼では菓葉と南寮、そして紅羅の三集落が持ち回りで海苔を採集しています。付近の村落の主な收入源になっていることから、住民たちは、これを「黒い金」と呼んでいます。

春から夏にかけての季節は、アジサシの繁殖地となります。オニアジサシが中心ですが、「神話の鳥」と呼ばれる珍しい渡り鳥「ヒガシシナアジサシ」もここに姿を見せます。巡航船に乗って、さまざまな鳥類を観察できることから、バードウオッチングの愛好家にとって最高のポイントです。