西吉嶼は、東吉嶼の西方およそ4.5キロメートルの場所にあり、東吉嶼とともに「南方四島国家公園」を構成しています。西側と北側には、玄武岩の崖があり、はっきりとした柱状の節が数百メートルに渡って伸びる様子はとても壮観で、「南海玄武岩自然保護区」に編成されています。住民は1978年にすべて転出したため、現在は無人島となっており、上陸に際しては事前の申請が必要です。

家屋の多くはすでに破損していますが、集落の構造ははっきりと残っています。信仰の中心である西吉宮遺跡と、魔よけのために建てられた四つの石塔も見えます。また、当時は東北からの季節風を防ぐため、村落の北側には玄武岩で造った菜宅が設けられました。現在、廃村となって久しいですが、各地に引っ越していった西吉村の元住民らは、毎年旧暦の端午の節句や中秋節などのお節句になると、みんな誘い合ってこの村に何日か戻ってきます。そして、次の世代を担う若い子供たちを連れ、ルーツ探しの旅が行われます。

西吉嶼で最も有名なスポットといえば、島の西北側にある海蝕洞です。その形状がかまどの口に似ていることから、「光の」を意味する「灶籠」と呼ばれています。洞窟内の周りの海水は、陽光が屈折してサファイアの色のように反射することから、「藍洞」とも呼ばれています。

島の東側と南側の多くはの地形で、東北方向の潮間帯では、岩石が海水に侵蝕されてくぼみや穴が生まれ、ポットホールの地形を形成するようになっています。これらが広がって「潮池」となっていることから、灶籠と同じく西吉嶼を代表する地質景観となっています。