吉貝嶼の埠頭の傍らには、吉貝ビジターサービスセンターがあり、民宿や船、観光スポットに関する情報が提供されているほか、一休みしたり船を待つ場所としても活用されています。ビジターセンターの東側にある石滬文化館は、伝統的な石滬文化を守るために設立されました。
澎湖は世界で石滬が最も多い場所で、合計600近くを数えますが、そのうち吉貝には百近くが集まっていることから、「石滬の故郷」とも呼ばれています。
石滬は、魚を捕らえるための伝統的な罠で、潮間帯に石を積み上げて堤防を造り、満潮時にこの中に入った魚が、干潮時に閉じ込められるつくりになっています。石滬を建造するには、グループ単位での協力が必要です。この人たちは、石滬の株主のようなもので、完成した後、抽選で使う順番を決め、順番がまわってくると石滬を取り巻いて、魚を捕まえます。
石滬は、自然の生態に合わせた漁獲技術で、シェアと共生のシステムとして、人々の助け合いと制度であるにとどまらず、かつては吉貝の社会組織の基礎としての役割を担うなど、文化的な意義を具えていました。このため、「吉貝石滬文化館」では、靜態陳列とともに、マルチメディア映像の放映も行われており、百種類程の昔の生活道具が展示されています。このほかに、石滬の構造の紹介、メンテナンスや漁の方法を紹介するなど、石滬に対する理解を深めることができるだけでなく、技術を伝承する場にもなっています。
アクセス情報
23°44'47.94000"N 119°36'44.06400"E