鍛冶屋で使っている金床(かなとこ)を見たことがありますか?澎湖には二つの鉄砧嶼がありますが、それは、外観が金床に似ていることから命名されたものです。なかでも白沙郷にある北鉄砧嶼は、澎湖本島西北の外海にある無人島で、玄武岩が主体の卓状台地によって構成されています。周りは傾斜の厳しい崖で囲まれています。柱状玄武岩の底の火山角礫岩は脆く、北東からの季節風の影響を受けており、また北岸の岩層は海流による長期間の侵蝕を受けたことで、小型船が入るくらいの巨大な海蝕洞が形成されました。その規模は、西吉嶼の藍洞よりも大きく、澎湖で最も大きな海蝕洞です。洞穴の中には日光が届かないことから、外よりも温度が摂氏3度から5度ほど低いため、「冷気洞」とも呼ばれています。
上陸後、台地状の玄武岩の方を見ると、特殊な形状をしたハチの巣岩のほかに、流水で侵蝕されてできた玄武岩の溝のあとが見えます。これらは、どれも北鉄砧嶼の地形の特色です。
ここはかつて、国軍が射撃訓練を行う際の標的として使われたことがあり、相当数の鉄片や岩石の破片が残っています。北鉄砧嶼の潮間帯は短く浅く、周辺の台地も少ないため、訪れる人もほとんどいません。このため、多くの鳥類がこの島で繁殖しています。中でも、最も多いのがマミジロアジサシで、船が近づくたびに、マミジロアジサシが警戒して発する鳴き声が聞こえてきます。群れを成して上空を旋回する様子は、まるで自分たちがこの島の主だと告げているかのようです。
アクセス情報
23°47'11.00400"N 119°36'1.00800"E